長期にわたるがん治療はお金がかかります。
そのためいろいろな公的制度が用意されています。
お金に困ったら余計な心配も増えて治療どころではありません。
公的保障
①高額医療費貸付制度(健康保険。治療費の支払いに困ったら借りる)
②介護保険(介護が必要になったら介護認定されれば利用できる)
③障害年金(がんで障害が残って障害認定されればもらえる)
④生活福祉資金貸付制度(市町村。治療費の支払いに困ったら借りる)
⑤失業保険(雇用保険。がんで仕事を辞めたら)
では一つずつざっくりですが紹介していきます。 自分が該当しそうな制度があれば、ぜひご自分で詳細を調べて申請してくださいね。
①高額医療費貸付制度( 健康保険の制度)
限度額適用認定証の申請をすればこちらを利用する機会は少ないと思いますが、
限度額適用認定証が何らかの理由で間に合わなかった時に思い出して欲しい制度です。
限度額適用認定証を申請しない場合、治療費の金額にかかわらず1〜3割負担で支払います。
そして、その後、自分が加入している健康保険に高額療養費の還付申請を行います。
※限度額適用認定書の申請をすれば初めから支払いが限度額なので高額療養費の申請は不要。
あとから申請して戻ってくるとはいえ、初めに数十万も支払うとなると結構な負担になりますよね。 その時に思い出してもらいたいのがこの高額医療費貸付制度です。 こちらは当面の医療費の支払いに当てる資金として、健康保険が高額療養費の支給見込み額の8割〜9割を無利子で貸してくれるというものです。 貸してくれる(借金)というよりも、 後から申請して還付される高額療養費を先払いしてくれるイメージです。
貸付方法は健康保険によって異なり、 例えば、国民健康保険なら高額療養費支給見込み額の9割を直接病院に支払ってくれます。 患者が支払うのは、高額療養費の自己負担限度額と支給見込み額の1割です。 協会けんぽだと、支給見込み額の8割を申し込みから2〜3週間で申込者の銀行口座に振込み、 それを利用して患者は病院への支払いをします。
わたしは限度額適用認定証を申請したのでこの制度は利用していませんが、 とにかくちょっと煩雑で手間もかかります。 治療が決まったらまず限度額適用認定証を申請する方をお勧めします。 そうすればこんな煩雑な制度を利用しなくても、同じように少ない手出しの治療費で済みます。
②介護保険
通常、介護保険は65歳以上で介護が必要になった人を対象としたものです。
※健康保険同様、もちろん介護保険に加入していないと利用できません。
ただ例外として、医師が治療が困難と診断した末期のがん患者であれば、 40歳〜64歳でも介護保険のサービスを利用することが可能です。
利用したい場合は、市区町村に介護保険の利用を申請するところから始まります。 自宅などに調査員が来て、利用者の心身の状態などを聞き取り調査します。 そして、医師の意見書(診断書)とともに介護認定審査会で要介護度が決められます。
要介護度は全部で7区分あります。 要支援1〜2 要介護1〜5 数字が大きくなるほど介護の必要性が高いと判断され使えるサービスの限度額も増えます。 そして、利用者は実際に使った介護サービスの1〜2割を自己負担します。
●介護保険制度の詳細(外部リンク)
https://www.mhlw.go.jp/content/0000213177.pdf
③障害年金
初めて医師の診察を受けてから原則的に1年半経っても回復が見込めず、 症状が固定した場合、それ以上の改善が見込めずに治療が終わると、 その時点で障害認定が行われ、認定されれば障害年金がもらえます。
障害基礎年金で、金額は1級で約97万、2級で約78万、 いずれも子供いる人には加算があります。 会社員の人は、障害の程度に応じて1級〜3級の障害厚生年金が上乗せされます。
がんによって退職しても、発症時に厚生年金に加入していれば、厚生年金加入者として申請できます。 なかなか申請厳しいみたいですが、 抗がん剤治療による副作用で日常生活を送れなかったり、 手術後に日常生活のほとんどに家族の介護が必要だとか、 リンパ浮腫を発症してしまい仕事ができないなど、 認定されるかどうかは申請してみないとわかりません。
障害年金とは違いますが、これと似てるのが身体障害者手帳です。 この手帳があると公共交通機関の運賃の割引や医療費の助成、税金の優遇など、 利用できるサービスが増えます。 がん患者でも一定の要件を満たせばこちらも申請可能みたいなので、 気になる方は自分の状態が該当するかどうか、詳細調べてみてください。
●障害認定基準(外部リンク)
https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/shougainenkin/ninteikijun/20140604.html
●身体障害者認定基準(外部リンク)
④生活福祉資金貸付制度
こちらの制度は、市区町村で設けられている、 低所得世帯のほか、障害のある人や介護が必要な高齢者のいる世帯など、 経済的に自立して安定した生活を送れるために低金利で融資を行う制度です。
原則的に融資の上限は170万円ですが、病気の療養期間や介護期間が1年〜1年半以内で、 世帯の自立に必要と認められると最高230万円まで借りられるようです。
この制度の相談窓口は、各市区町村の社会福祉協議会になるので、 利用を考えている場合は窓口に相談してみてくださいね。 福祉資金は、連帯保証人がいれば無利子で借りれますが、 いない場合は年利1.5%になります。 とはいえ、銀行などのカードローンの金利は年12〜14%くらいあるので、 これに比べたらだんぜん低金利です。
お金を借りようと思っている場合、 まずは福祉課に相談してこの生活福祉基金貸付制度が利用できないか相談してみる価値はあると思います。
●福祉費上限目安額(外部リンク)
https://www.mhlw.go.jp/bunya/seikatsuhogo/fukushihi.html
●貸付条件など(外部リンク)
⑤失業保険(会社員)
がん治療でやもうえず会社を辞めた時、ぜひ知っておいて欲しいこと。 それは、がんの治療によって会社を辞めざるおえなくなった場合、 特定理由離職者に該当するので通常よりも手厚い給付を受けることが可能です。
●特定受給資格者および特定理由離職者の範囲(外部リンク)
https://www.hellowork.go.jp/insurance/insurance_range.html
例えば、通常の自己都合で辞めた場合、給付期間は90〜150日に対し、
90〜330日と優遇されます。
ただし、失業保険は、本来働く意思と能力があるのに仕事に就けない状態が続いてるのが給付の条件です。
がん治療を理由に会社を辞めた場合、すぐには働けない場合、失業と認められません。
なので、今すぐ働けない場合は、自分の住んでいる最寄りのハローワークに行って、
必ず基本手当の受給期間の延長申請をしておこう。
事前に申請しておきさえすれば、受給開始を最長4年間遅らせることができます。
会社を辞めたあとも傷病手当金をもらっている人も同様です。
これさえしておけば、
基本手当ての受給期間である失業してから1年間が過ぎた後でも、
がん治療がひと段落してから失業給付金をもらいながら安心して再就職活動をすることができます。
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